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最高裁判所第一小法廷 昭和47年(オ)554号 判決 1973年3月01日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人藤井剛士の上告理由について。

原審は、原判示(イ)の契約の締結後三年余を経、訴外第一土木工業株式会社の経営状態が悪化し、(イ)、(ロ)の各契約による担保物件も第三者に売却されて右会社の事業場から搬出され、第一審原告勝山信用金庫においてもその事情を了知しうる状態にあつたにかかわらず、同金庫が金融機関としてなすべきこの点の注意を怠り、かつ被上告人らの意向を打診することなく、漫然本件手形貸付をしたものであるとの事実を認定し、右事実関係のもとにおいては、同金庫が、(イ)の契約における期間の定めのない継続的保証契約に基づき、右手形貸付について被上告人らに対し保証債務の履行を求めるのは、信義則に反し権利の濫用であつて許されないとしたのであり、この点の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができないものではない。右認定判断に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸 盛一 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸上康夫)

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